移民法ニュース: L-1ビザカテゴリーを対象としたサイトビジットと監査の増加

最近、L-1ビザ保持者を雇う雇用者を対象に、米国政府によるサイトビジット(オフィス訪問)が増加しています。H-1Bビザ保持者を雇う雇用者を対象にした米国移民局(USCIS)によるサイトビジットは、今までも定期的に行われておりましたが、L-1ビザカテゴリーを対象とするサイトビジットは、最近の新しい傾向となっています。L-1ビザ保持者を雇う雇用者は、予期せぬUSCISによるサイトビジットに備え、充分準備をしておく必要があります。

サイトビジットの目的は、USCISが、ビザ申請の際に提出された情報と実際の情報が一致しているか確認するためです。

監査員は、その勤務地で就労している職員に、L-1ビザ保持者の勤務先住所や、勤務時間、給与額、職務内容について質問することが多くあります。ほとんどの場合は、監査員はL-1ビザ保持者と、その方の直属の上司に直接質問をします。

USCISによる一般的なサイトビジットの簡単な流れを説明します。監査員が予告なくビザ雇用者のオフィスに訪れます。ほとんどの場合、監査員は、ビザ書類の署名者となったHR Managerか、会社の役員との面談を要求します。雇用者から許可を得た後、監査員は、会社の施設を見学します。施設を見学する目的は、会社が正当かつ適切な事業活動に従事しているかどうか、確認するためです。ほとんどの場合、サイトビジットは予告なしに行われ、一時間以内に終了します。

監査員がビザ申請書に含まれている範囲以上の質問をしたり、社内でのリサーチが必要になる内容の質問をした場合、雇用者が回答するために必要な追加時間を求めることは、通常移民局の許容範囲内です。

フォローアップが必要となった場合は、監査員が結果報告書を期日内に作成できるよう、雇用が要求された情報や書類を早急に提供することは、とても重要です。

  • *重要*もしある時点で、雇用者またはL-1ビザ保持者が、監査員からの要求への協力をやめたいと考えた場合は、USCISは雇用者の要求に従い、その時点で監査を終了するべきです。 但し、その場合監査員は、監査終了前の時点で回収できた情報のみで結果報告書を作成する事となり、結果報告書には、雇用者の要求により、監査終了となったと明記されます。USCISはまた違う時期にフォローアップをする可能性はありますが、いい結果を残す可能性を明確にするためにも、すべての雇用者はUSCISに協力し、できる限り明確な情報を提供することを強くお勧めします。
  • *重要*監査員は、適切なIDとUSCIS の職員である証明を所持しているべきであり、サイトビジットの際、これらを雇用者に提示するべきです。雇用者は、政府機関の職員であることを主張している方には、常にIDと政府機関の職員である証明の提示を求めるべきです。繰り返しますが、監査員は、雇用者(ほとんどの場合、ビザ書類の署名者)との面談を要求します。その社員が不在だった場合は、監査員は、その社員の代理となり、質問への回答ができる権利を持つ別の社員との面談を要求します。

雇用者は、社内のHRやその他の適切な職員と共に、予期せぬ政府機関からの訪問があった際の対処法について、万全な準備をしておくべきです。サイトビジットの際、雇用者が弁護士の出席を要求する場合は、その要求を監査員に伝え、直ちにRBLへ連絡をしてください。監査員は、その要求を理解しているべきであり、可能な限りRBLの弁護士は、実際そのサイトビジットに出席するか、電話を通じて雇用者へ適切なアドバイスを提供します。

監査の際、一般的に、監査員が“RED FLAG”と判断する点:

  • ビザ申請書に記載されているL-1ビザ保持者の給与額と、実際の給与明細書、TAX関連の書類、社内の記録での給与額が一致していない場合。
  • ビザ申請書に記載されているL-1ビザ保持者の勤務先住所と、実際のオフィスの住所が一致していない場合。
  • ビザ申請書に記載されているL-1ビザ保持者の勤務先オフィスが、実際はバーチャルオフィスであったり、オフィスの装置等もなく、空のオフィスである場合。
  • L-1ビザ保持者のオフィスのE-mailアドレスや、オフィスの電話番号が存在しない場合。

雇用者へのアドバイス:

  1. サイトビジットがあった場合に備えた社内ポリシーや対策を確立しておく事は重要です。
  2. L-1ビザ申請書に記載した情報に間違いはなく、すべて事実であることに、雇用者とL-1ビザ保持者両者が、100%自信を持っているよう、再確認してください。
  3. 雇用者は、サイトビジット後のコミュニケーションを円滑にするためにも、サイトビジットで、監査員のIDや政府機関の職員である証明書類の提示を求めるべきです。また、その書類と情報(名前、役職、連絡先、所属している政府機関の名前や部署等)は、社内の記録として保管しておくべきです。雇用者は、監査員から要求された情報や質問も保管しておくべきです。
  4. 雇用者は、L-1申請書から会社の組織やL-1雇用条件にどのような変更があった場合、移民局へのL-1改正申請が要求されるのかを把握しておくべきです。一般的には、L-1の職務内容に実質的な変更があった場合、または勤務地の変更があった場合等、ビザ申請所で提出した内容より重大な変更があった場合は、改正申請が必要となります。

サイトビジットの際、雇用者または社員が、監査員への質問に自信を持った回答ができないと判断した場合は、不透明な情報を提供するより、回答に必要な追加時間を要求し、この点についてフォローアップさせていただくよう申し出るべきです。すべての質問をRBLへ転送いただければ、適切なアドバイスを提供します。

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